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教育eポートフォリオについて思うこと その1

昨今、高校ではeポートフォリオの利用に関して盛んに議論がなされています。同時に、現場の先生はその運用に悩まれています。

 

eポートフォリオは入試で必要になるの?

生徒が入力するようになるためには?

これは一時的な流行り?

 

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教育関係者以外の人のために補足しておきますと、大学入試改革にともない、学生の評価が細かくなります。従来の点数では測れない、どんな活動や学びをしてきたかのプロセスをフォーマットに入力して出願するようになる改革が進んでいます。このフォーマットをeポートフォリオと言います。

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教育現場のICTコンサルをする中で、色々な先生とeポートフォリオについて議論させていただいております。

 

私の見解を記しておこうと思います。

教育現場からいったん飛び出た私ならではの視点です。中等教育にだけでは留まらないマクロな視点です。

 

eポートフォリオの運用は高校だけ?

 

eポートフォリオについて感心を寄せている先生のほとんどが高校の先生です。

 

平成33年度の大学入試から調査書の所見欄が詳細になり、それを運用するためにeポートフォリオというシステムを文部科学省が立ち上げようとしたため、昨今のeポートフォリオの議論が生まれました。

 

ですから、中学校の先生はeポートフォリオを大学入試に関する話題だと思っています。

 

しかし、中学校までの義務教育においてもeポートフォリオは存在します。

「キャリア・パスポート」というeポートフォリオです。

 

キャリア・パスポートとは

キャリア・パスポートとは、2017年度に厚生労働省文部科学省が開始した事業であり、生徒の学びを蓄積するための教材である。

 

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国立教育政策研究所http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2017/10/24/1397727_003.pdf

 

子供一人一人が、自らの学習状況やキャリア形成を見通したり、振り返ったり できるようにすることが重要である。そのため、子供たちが自己評価を行うことを、教科等の特質に応じて学習活動の一つとして位置付けることが適当である。例えば、特別活動(学級活動・ホームルーム活動)を中核としつつ、「キャリア・パスポート(仮称)」 などを活用して、子供たちが自己評価を行うことを位置付けることなどが考えられる。 その際、教員が対話的に関わることで、自己評価に関する学習活動を深めていくことが 重要である。

幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について(答申)(中教審第197号):文部科学省

 

ポイントは3つである。

 

1. 教科横断的に行うこと、そして教科学習だけに留まらず特別活動を含む全ての活動を通して蓄積されるものであること。各活動を振り返ってつなぎ合わせることで広義な学びの実現が意図されている。

 

2. 自己の内面理解を促すために他者との関わりの機会を多く設けること。先生やクラスメイトへ考えを共有し、振り返ることでさらなる自己理解につながる。また他者を理解することも自己理解を促す大切な要素である。

 

3. 小中高の12年間の蓄積が前提とされていること。断続的に行うのではなく、その発達の段階に応じて、系統的にキャリア教育を行うためである。

 

 

eポートフォリオは一生涯蓄積するもの

 

上記の3で述べたように、義務教育段階でもキャリア・パスポートというeポートフォリオが存在することをお分りいただけたかと思います。

 

ただ、電子上の統一フォーマットが確立していないため「e」は入らない場合が多い。統一のものがないために高校に引き継がれにくいのが現状である。

 

学びの履歴の蓄積は中学校段階では終わりません。それを土台として高校でも蓄積し続けます。

 

逆に、中学校と高校の間で接続されなければ、その生徒の学びが遮断されてしまいます。

 

もちろん、生徒個人が自分の興味や学びを記憶の中に留め、中学校・高校と蓄積していけばいいのかもしれませんが、

 

学校という箱の中で先生が学習指導や進路指導をする際には、その生徒のeポートフォリオデータがなければ適切な指導はできません。

 

その生徒がどんなことに関心を持ち、どんな強みやこだわりを持っていて、どんな進路を志しているかの情報なしに、先生は指導をすることはできません。

 

 

高校を卒業してからも、その生徒の学びは続きます。

 

データとして蓄積していかなければ、外部への証明力も失われてしまいます。

 

eポートフォリオは、一生涯の蓄積を通して、その人のブランディングをするツールなのです。

 

 

 

次回へ続きます。

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